ぷちらば


キリ番600 「お子様だって考える」

どうされたいのか、どうしたいのか、なんて、そんなことわかんない。
ただ・・・・・・とにかく、嫌だったから。
情けないって自分でもわかってるけど、泣いちゃうぐらい嫌だったから。





そうなってしまったのは、色々と不幸が重なってしまったとでも言うべきか。
その日、エドワードは例によって、静かに怒るロイの目の前に立たされていた。

「・・・・・・・・・鋼の」

いつものように、ロイは椅子に座ったままエドワードを厳しい視線で射抜く。

「・・・・・・だ・・・だって・・・」

座っていても、ロイは5歳のエドワードよりも視線が高い。
必然的に見下げられるような感じになってしまい、エドワードからしてみれば
それが何だか怖い。
ロイと目を合わすこともできなくて、ただ俯き加減にボソボソと口を開くだけだった。

「・・・だって・・・・・・・・・」

「・・・相手が悪いとでも言うのかね?」

「だって絶対・・・アイツらが悪いんだよ!!
 だからっ・・・・・・!!」

「一般人にも関わらず、錬金術でボコボコにした・・・と?」

「うっ・・・・・・・・・」

司令部付近の路地裏で、激しい喧嘩をしていると通報が入ったのは、つい先程。
ハボックの小隊が出動したのだが、現場である路地裏に到着した時には
もう既に、ことは終わっていた。
喧嘩っ早そうなごろつきの男二人が地べたに倒れていて
その真ん中に突っ立っていたのが、5歳程度の金色の子供・・・・・・
ずばりエドワードである。
その路地の壁からありえない突起が飛び出ているし、傍にある標識は
ぐにゃりと曲がっているし、エドワードが錬金術で錬成したことは火を見るより明らかで。

とりあえず現場はそのままにしておいて、ハボックは上官に報告すべく
エドワードの手を引いて司令部まで戻ってきた。
そして、今現在エドワードはロイからの事情聴取の真っ最中である。

「・・・これで何度目だと思っているんだね?
 国家錬金術師が、一般人相手に錬金術で喧嘩をするなと
 もう何度も言ったハズだが?」

実はエドワードが一般人相手に錬金術で喧嘩をしたのは初めてではない。
15歳の身体の時から、「背が小さい」だとか、「豆だ」などと言われて
激昂したエドワードが誰彼構わず、喧嘩をするのはいつものことで。
だが、5歳の身体になってからというもの、ますます周りから子供扱いされるように
なってしまい、それが本人は気に入らないのか、知り合いにはそうでもないものの
全く関係のない人間にはむしろ容赦なく錬金術を使って騒ぎを起こしている。
まぁ、喧嘩をふっかけてくる相手は大抵がガラの悪い小悪党なのだけれど。

エドワードが5歳の身体になってから、もう二十日近い時間が流れていた。
だが、それでもまだ元の身体には戻れていない。
苛立ちと、焦りと・・・・・・色々なものが胸に渦巻いてエドワードを不安にさせる。
そんな中、いつものように小悪党にからまれて、禁句である「チビ」などと
言われたものだから、半ば八つ当たりに近い形で、相手を錬金術でボコボコに
してしまったのである。

「まったく・・・・・・君って子は本当に厄介なお子様だな・・・」

ロイは言いながら、はぁ〜・・・と大きくため息を吐いた。

「・・・・・・なんだよ・・・」

「ん?」

大げさに呆れた表情を浮かべるロイに、エドワードは沸々と怒りにも似た気持ちが
湧いてくる。
自分だって何も好き好んで5歳児になったわけではない。
いつだって元の身体に戻れるのか不安でしょうがないのに。
それなのに、周りはそんな自分の心情などお構い無しに、無遠慮に子供扱いしてくる。
それが決して嫌なわけではないのだけれど、余計に自己嫌悪に陥るのも事実で。

「・・・・・・そんなにオレのこと邪魔なら、もう構わなきゃ良いだろ!?
 ・・・もう、オレに干渉すんな!!」

怒ったような、それでいて泣きそうな顔でエドワードは喚き散らした。
そんなエドワードを見て、ロイは一瞬驚いたような顔をしたが

「・・・・・・・・・なら、好きにしなさい」

ふぅ・・・と小さくため息を吐いて瞳を閉じると、静かにそう告げた。

「・・・言われなくても・・・好きにするさ・・・」

ロイが怒りもせず、こちらに目もくれないで言ったことが何だか意外だったけれど
エドワードもそれだけ言うと、くるりと身を翻して、静かに執務室を出て行った。





次の日の朝、朝食の席についたエドワードとロイの様子が、何だかおかしいことに
アルフォンスは気がついた。

「・・・・・・・・・ごちそーさま」

エドワードが食事を終えて、ぴょこんと椅子から飛び降りた。

「あっ、ちょっと兄さん!!また牛乳残して!!」

他の皿は綺麗に片付けられているのに、コップの中の牛乳は少しも減っていない。

「なっ・・・牛乳なんて飲めるか!!」

ギャーギャーと朝から騒がしく、牛乳を飲め、飲まないの大騒動。
これはもはや、マスタング邸での朝の恒例行事になってしまっている。
結局はロイに「好き嫌いする子はお仕置きだ」と脅されて
一口は必ず飲まされることになるのだけれど・・・・・・・・・
エドワードとアルフォンスが言い争っていても、今朝のロイは何も言わない。

「牛乳なんて飲まなくても死なないっての!!」

エドワードは言いながらチラリとロイの様子を見やるが、ロイは新聞を読みながら
コーヒーを啜るだけで、こちらには無関心な表情である。

「とにかく、飲まないったら飲まないからな!!」

エドワードはそう言うと、逃げるようにテーブルから離れていった。
それでもやっぱりロイは口を開こうとしない。

「・・・・・・・・・・・・??」

いつもなら自分はその騒動を遠巻きに見るだけで
むしろロイの方が当事者なのに・・・と、アルフォンスはエドワードに
一言も何も言わなかったロイを不思議そうに見ては

(・・・兄さんと大佐・・・喧嘩でもしたのかな・・・・・・?)

小さく首をかしげた。





ロイに好きにしなさいと言われてから、エドワードは久しぶりの自由を満喫していた。
大嫌いな牛乳は無理矢理飲まされることはないし、夜更かししても叱られない。
15歳の身体の頃は、これが当たり前だったのだが、5歳の身体になってしまってからは
ロイが好き嫌いは良くないだとか、子供の夜更かしは身体に悪いだとか
とにかく口うるさいし、大人しくその通りにしていないと、力ずくで
従わされてしまうので言うことを聞くしかなかった。
だが、今はロイの干渉がないのだ。

「干渉されないって、やっぱいいもんだよな〜・・・」

ロイはエドワードの行動には一切、口出ししなくなった。
だからエドワードが牛乳を飲まなくても、夜更かしをしても
ロイからお説教されることもないし、もちろんお仕置きだってされない。
まさに、理想通りの展開である。

だが・・・・・・・・・

ロイに叱られないのを良いことに、自由気ままに生活していたエドワードだが
3日も経つ頃には、逆にそわそわと落ち着かなくなってきた。
ロイはエドワードが何をしても口出ししなくなったが、何気ない普段の会話ですらも
何も交わさなくなったのだ。
それどころか、ロイにさけられている感じすらする。
話しかけようとしても、ことごとくタイミングをずらされて、相手にしてもらえない。

(・・・・・・なんなんだよ・・・)

最初は自分の勘違いかと思ったのだが、目も合わせようとしないロイの様子を見て
エドワードはそれが間違いではないと確信した。
干渉するなと言ったのは自分で、今の自由気ままな生活の方が性に合っている。
以前なら、エドワードは旅に出ていて、東部になどなかなか寄らないから
ロイの顔を見ることも、ロイからお説教のひとつをされるのも、数えるほどしかなかった。
だが、5歳になってしまってからは、ロイの家に一緒に住んでいるから
ロイから叱られることも、お仕置きされることも日常茶飯事になってしまっている。
だからなのか、何も言わないロイの態度に、エドワードは何だか拍子抜けしてしまう。

何をしても叱られない生活は、エドワードにとって、とても快適な生活のはずなのに
普段口うるさく言われていたことがなくなると、何だか逆に不安になるから
不思議なもので。

今朝も大嫌いな牛乳を残したけれど、ロイはやはり何も言わなかった。

「・・・・・・あの・・・・・・大佐・・・・・・」

司令部へ出かけるロイを、エドワードはいつもアルフォンスと一緒に玄関先まで見送る。
快適な生活のはずなのに、妙に気分が晴れないのは何故なのか。
その原因はやはりロイではないだろうかと見当をつけたエドワードは
おそるおそるロイを見上げた。
だがロイは

「出かける時にはくれぐれも戸締りに気をつけるように。
 頼んだよ、アルフォンス君」

エドワードのことなどまるで相手にせずに、アルフォンスにそう告げると
玄関扉を開けて、さっさと出かけてしまった。
やはりロイはエドワードを故意にさけているようだ。

「・・・・・・兄さん、この間から様子が変だけど・・・
 大佐と何かあったの??」

今まで過剰なまでにエドワードに干渉していたロイが、突然それを止めた。
最初は喧嘩でもしたのだろうと軽く考えていたアルフォンスだが
ここ数日、兄がふさぎこんだような様子なので、さすがに心配になってくる。

「・・・何でも・・・ない・・・」

エドワードはボソリとそう言うと、ふらふらと書斎に向かって行った。

(そんな元気のない様子で・・・何でもないわけないじゃない・・・・・・)

明らかに元気のない様子でそう言われて、アルフォンスは余計に心配になってしまう。
だが、兄が理由を話そうとしない以上、それはきっと話したくないことだから・・・と
もうしばらく様子を見ることに決めた。





アルフォンスも図書館に行ってしまった今、広いマスタング邸にはエドワードひとりだけ。
エドワードは本を読むわけでもなく、研究をするわけでもなく
ただ無気力に書斎の床に転がっていた。
今日は天気も良くて、窓からも優しい陽の光が差し込んでいる。
それなのに、相変わらずエドワードの気持ちは何だか晴れない。
エドワードはごろごろと寝返りをうちながら、ボーっと部屋中を眺めていた。
そして壁を見て、ふと思い出す。

(・・・そういや、発火布で錬成して・・・この書斎、半壊させたこともあったっけ・・・・・・)

あの時、実験器具には触るなと、ロイに言われていたのに、好奇心に負けて
エドワードは発火布での錬成を試してしまった。
その結果書斎は、本棚は崩れ落ちるわ、窓ガラスは全部割れるわの大惨事。
当然、ロイからはこっぴどく叱られて、エドワードのお尻は真っ赤にされた。
その後、エドワードもアルフォンスを手伝いながら、書斎を元通りに修復したのだが
やはり完全完璧というわけにはいかなくて、今でも書斎の壁には
ススで汚れた部分が多少残ってしまっている。

(・・・この書斎で徹夜した時も・・・こっぴどく叱られたっけ・・・・・・)

ロイが当直の日を狙って、再三ダメだと言われていた徹夜を実行したら
これまたこっぴどくお仕置きされた。
泣いても、叫んでも、ロイはなかなか膝から下ろしてくれないし
お尻はとんでもなく痛いし、そしてなによりも本気で怒ったロイが怖かった。

他にも、2・3日に一度は何かにつけてロイの膝の上で泣かされていた。
好き嫌いをするとか、ワガママを言うとか、そんな些細なことから
嘘をついたとか、心配させたとか、理由は様々で。
けれど、思い出してみれば、いつだってロイはお仕置きが終わって
エドワードが顔をグシャグシャにして泣いていると、膝の上にエドワードを座らせて
泣き止むまで頭を撫でたり、背中を擦ったりと、とにかく優しかった。

ロイに干渉されない生活を望んだのは自分で、それは確かに快適なはずなのに
思い出されるのは、全然快適ではないロイに干渉される生活の記憶ばかり。

(・・・・・・なんで・・・・・・?)

いくら考えてもエドワードは自分でもわからない。
干渉されない生活が良いと思っているはずなのに、何故か気分は晴れないのだ。

いつもロイは過剰なぐらいエドワードに甘く、優しく、時には厳しかった。
無気力な状態で転がっていたエドワードだが、頭をぐるぐると駆け巡るのは
そんなロイのことばかり。

「え・・・・・・なんでっ・・・!?」

ふと気付けば、自分の目にはいっぱいの涙が溜まっていた。

「な・・・なんで・・・?」

別に悲しいわけではないし、どこかが痛むわけでもない。
それなのに、何故か瞳からは涙がこぼれ落ちてくる。

「なんなんだよ・・・もう・・・・・・!!」

余計にわけがわからなくなったエドワードは、ぎゅっと身体を丸めると
目を閉じて、ひたすら涙が止まるのを祈った。





その日、ロイは市内を視察に廻ったその足で、そのまま帰路についた。
大通りを抜けて、住宅街の四つ角を曲がったところで、自分の家の前に
何かがあることに気が付いた。
目を凝らしてよく見てみると、それは赤い色をしている。

(・・・・・・何だ??)

不審に思いながら、家の前にまで近づいて、ようやくその正体がわかった。

「・・・・・・・・・・・・」

真っ赤なコートを着て、家の前で丸くなって座り込んでいたのは
まぎれもなく今、自分の家で一緒に生活をしている5歳の国家錬金術師。
ロイが家の前で足を止めると、エドワードは何も言わずに、ただじっとロイを見上げた。
だがロイはやはりエドワードには目もくれず、門扉を開けて
さっさと中に入ってしまおうとする。

「!?」

だが、足を踏み出そうとした瞬間、何かがロイを引っ張った。
驚いて振り返ってみれば、エドワードがぎゅっとロイの軍服の裾を握り締めている。

「・・・・・・も、わけわかんな・・・・・・でもやだからっ・・・・・・」

そしてエドワードは、何をか呟きながら、ボロボロと泣き出した。

「ふぇぇ・・・・・・わかんな・・・けど・・・・・・やだぁ・・・・・・」

突然泣き出したエドワードに驚いたロイだが、いつまでも家の外で
このままでいるわけにもいかず、泣きやまないエドワードを連れて
とりあえずは家の中に入ることにした。
エドワードの手を引いて、玄関を通り抜け、リビングへと向かう。

未だ泣きやまないエドワードをソファに座らせて、自分は軍服から着替えようと
ソファから離れようとしたら、エドワードはまたしても、ぎゅっとロイの軍服を
握り締めて涙でいっぱいの瞳でこちらを見上げてくる。

「鋼の・・・・・・一体どうしたと言うんだね?」

いつもと違い、ふるふると震える手でロイの軍服を握り締めて
目にはいっぱいの涙を溜めて。
眉を寄せて、不安そうに見上げてくるエドワードの顔は、まるで捨てられた仔犬のようで。
普段の元気の良さからは想像もつかない姿に、ロイはまたしても驚きを隠せない。

「ふぇっ・・・・・・だって・・・なんかやだからぁ・・・・・・」

「・・・何が嫌なんだね?」

ロイはエドワードの方へ向き直り、腰を落として
そっとエドワードの視線に合わせるようにかがんでやる。
覗き込んでみると、エドワードは困ったような、拗ねたような、そんな顔つきで
恐る恐るロイと視線を合わせた。

「・・・わかんな・・・けどっ、でも・・・・・・」

言いながらも、エドワードの涙はまだ止まらない。

「ひくっ・・・・・・よふかしとか・・・ぐすっ・・・しかられないし・・・
 こっちのがいいって・・・・・・おもって・・・のにっ・・・・・・」

しゃくりあげながらエドワードは懸命に言葉を紡ぐ。

「思っていたのに・・・?」

ロイはエドワードが、なかなか上手く言葉に出来ないのをじっと待ちながら
頬に流れ落ちる涙を、そっと指のはらで拭ってやる。

「・・・なんかっ・・・ひくっ・・・モヤモヤして・・・・・・ふぇぇっ」

「・・・モヤモヤ?」

「だってっ・・・たいさ・・・しゃべんないしっ・・・・・・」

それを聞いたロイは、小さくため息を吐いた。

「鋼の・・・君が自分に干渉するなと、そう言ったんじゃないか」

そう、ロイはエドワードが望んだことをしてやっただけだ。
確かに言われてみれば、ロイ自身、エドワードが5歳になってからというもの
過剰なぐらいに保護者として干渉していたように思う。
なまじ11歳の頃のボロボロな姿のエドワードを見てしまっているから
余計に保護欲を掻き立てられるのかもしれない。
だが、外見は5歳とはいえ、エドワードの中身は15歳のままなのだから
本物の子供のように扱っては、かえってエドワードを苦しめるのだろうと
そう考えて、あえて口出しするのを止めたのだ。

「ふぇぇ・・・・・・でもっ・・・やっぱり・・・ひくっ」

エドワードの為になるのならと、そう思っていたのに、結果はまるで逆で
予想外の展開に、ロイの方が困ってしまう。

「鋼の・・・君は一体どうして欲しいんだね?」

「わかんな・・・・・・けど・・・ひくっ・・・・・なんかやだからっ・・・」

干渉されない、相手にされない、というのは、まるで見捨てられたようで。
胸がモヤモヤして、ひどく苦しい。

「だからっ・・・いっぱい・・・いたくても、ちゃんとっ・・・・・・
 ちゃんと・・・ガマンするからぁ・・・・・・」

自分からこんなことを言い出すなんて、今までならば考えられなかったけれど
今のこの状況だけは、とにかく嫌だから。

「・・・おしおき・・・してもいいから・・・
 も、こんなの・・・やだぁっ・・・!!」

「・・・・・・鋼の・・・」

グスグスと泣きじゃくって、必死にロイにそう訴えるエドワードの頭を
ポンポンと撫でてやりながら、ロイは自身もソファに腰掛けた。

「今日はえらく殊勝じゃないか。
 お仕置きされてまで、前の方が良いと・・・そう思うのかね?」

ロイは、ひょいっとエドワードを膝に向かい合わせに座らせると、そっと頭を撫でた。

「ふぇぇっ・・・・・・だってっ、なんか今のやだから・・・・・・」

生まれてからたった十年かそこいらで、大きな業を背負ってしまったこの少年。
それからというもの、弟の為にと、兄であること、強くあることを自らに
課してしまったから、いつだって大人であろうと虚勢を張っていて
子供のくせに素直に甘えることがひどく下手で。
だから、今だって自分が甘えたいという感情を持っていることすら理解していない。

「・・・そうか。それはすまなかったね」

ロイはそのことを解っていたはずなのに、あえて突き放すように接してしまったことを
今更ながらに後悔した。
どんなに大人ぶっていても、エドワードはやはりまだ子供なのだから。

「ひくっ・・・・・・ぐすっ・・・」

その後、ロイはエドワードが泣き止むまで、ずっと頭を撫でてくれた。
エドワードはと言えば、以前と同じように接してくれるロイに安心して
小さな手でぎゅっとロイの服を握り締めたまま、眠ってしまった。





「やだ〜ッ!!やだっ、やぁ――――――ッ!!」

次の日の朝、例によってテーブルに置かれた牛乳を飲まないと主張したエドワードは
ロイの膝の上でもがいていた。
だが、抵抗も虚しく、下着ごとズボンを脱がされてしまう。

「さて、鋼の。好き嫌いは良いことかね?」

「やっ・・・・・・だってっ・・・!!」

お尻を剥き出しにされても、まだ膝の上で暴れるエドワードに、ロイはパァンッ!!と
容赦なく平手を振り下ろし、恐ろしいセリフを言い放つ。

「五日分、お仕置きだからな」

「なぁっ・・・・・・なんでっ!?」

「私が叱らなかったこの五日間に、君は随分と好き勝手していただろう?
 好き嫌いはするし・・・徹夜はするし・・・。
まるで言いつけを守っていなかったじゃないか」

「や・・・だけどっ・・・!!」

確かに叱られるようなことをいっぱいしでかしたのだけれど・・・・・・
一回お仕置きされるだけでも、お尻は真っ赤になって、とんでもなく痛いのに
それが五日分だなんて、とてもじゃないが耐えられない。
エドワードは想像しただけで、もう既に泣きそうだ。

「五日分、しっかり反省したまえ」

「そ、そんなぁ・・・・・・!!」

泣きそうな顔で不平をもらしても、ロイはまったく聞き入れてくれなくて。
容赦なく飛んでくるロイの平手の嵐に、エドワードがお尻を真っ赤にされて
昨日以上に泣いたのは言うまでもない。

五日分の厳しいお仕置きが終わった後、ロイの膝の上に座らされたエドワードは
泣きじゃくりながら思う。

(・・・胸がモヤモヤして痛いのと・・・お尻が痛いのと・・・どっちがマシなんだろ・・・)

えり様へ、キリ番600GETありがとうございました。