ぷちらば


05.山田主水様より

           ―おねしょと身代わり―


 「兄さん、大丈夫?」
アルフォンスは心配そうな声で兄に話しかける。
「ん?あぁ?大丈夫だって」
エドワードはそう答えるが、どことなく眠たげで、今にも頭がガクンッと倒れそうな状況だ。
「兄さん、無理はしない方がいいよ。今は子供の身体なんだし」
「だーかーらー、大丈夫だって!」
エドワードはあくまでそう言い張る。
アクシデントにより五歳児の身体になってしまい、ロイの家に居候させてもらいながら元の身体に戻るための調査をしている。
今日もロイに許可証を出してもらい、アルと一緒に司令部内で調べ物をしているところだった。
 そのとき、ロイが姿を現した。
「あ、大佐。どうしたんですか?」
「ちょっと様子を見ようと思ってね。どうかね、少しは何かいい情報が見つかったかね?」
「いえ・・まだ途中ですけど・・」
「そうか・・ん?どうしたのかね、鋼の?」
ロイはエドワードの様子に気づくと声をかける。
 「ん?何でもないって」
「無理をしてはいかんな、今の君は子供の身体だからな。根を詰め過ぎて身体が疲れてるのではないかね?」
「だーかーらー、眠くなんか無いって言ってるだろ!」
「やれやれ・・・仕方ないな」
ロイはそう言ったかと思うと、いきなりエドワードを抱え上げてしまう。
 「ちょっ!何するんだよ!!」
「仮眠室だよ。しばらくそこで昼寝でもしていたまえ」
「だから・・・眠くなんか・・・」
あくまで抗議しようとするエドワードに対し、ロイはささやく。
「あまり強情を張ると廊下でお仕置きするが?」
「う・・・・」
普段から大佐の膝で泣かされているから、どれほど痛いのかはわかっているし、廊下でされようものなら誰に見られるかわからない。
大佐の言いなりになるのは癪だが、お仕置きされたくは無いし、本当に眠くてたまらない。
「わ・・わかったよ・・・」
ようやくそういうと、ロイはエドワードを抱きかかえて仮眠室へ連れてゆく。
アルもやはり兄のことが気になるのか、後を追って書庫を後にした。
 「兄さん、大丈夫?」
「ん?あぁ、眠いだけだから大丈夫だって」
仮眠室のベッドに入ったエドはアルにそう答える。
「それよりアル、俺のことはいいから調べるの続けろって」
「え・・でも・・」
「大丈夫だって。別に風邪じゃなくて眠いだけだからさ。一人の方が静かに寝られるし」
「そ、そうだね。それじゃあ、僕はまた調べ物してくるから。ゆっくり寝ててね」
「ああ、わかってるって」
そういうとアルは仮眠室を後にする。
「ふぁぁ・・・それじゃあ・・寝るか・・・」
大きなあくびをしたかと思うと、エドワードは横になり、そのままスヤスヤと眠りに入った。


 (ふぁぁ・・・気持ちいい・・・)
エドワードは温泉につかっていた。
ヌクヌクとほどよく温かく、何とも気持ちいい。
(何か・・・鼻歌でも歌いたくなってくるよな)
そんなオヤジっぽいことを考えたせいか、無意識に鼻歌が出てくる。
 「ふぁぁ・・・あれ・・?」
大きなあくびと共に身体を起こすと、エドワードは妙な表情を浮かべる。
温泉に入っていたと思っていたのに、周りを見回したら仮眠室だったからだ。
 (何だ・・夢か・・ん?)
起きると同時にエドワードは妙な感覚を覚える。
何だかお尻のあたりが冷たいのだ。
 (ま・・まさか・・・)
あってほしくない可能性を想像しつつ、恐る恐るエドワードは布団をめくる。
するとそこには世界地図が広がっていた。
 「う・・・嘘だろ〜〜〜!!!」
思わずエドワードは叫ぶ。
幾ら身体が五歳児だからって、おねしょだなんてあまりにも恥ずかしくて、情けなくてたまらない。
(こんなの・・ばれたら笑われる・・いや・・もしかしたら・・また・・お仕置きされるかも・・)
お仕置きの可能性に、エドワードは必死にどうすべきか考え始める。
だが、悪いことは重なるもの。
 「エドワードくん・・」
不意にフュリー曹長が入って来たのだ。
慌ててエドは布団を戻す。
「ど、どうしたの?フュリー曹長?」
「大佐に様子を見てきてくれって頼まれたんですよ。もう大丈夫ですか?」
「あ・・ありがと、だ、大丈夫」
「そうですか。それじゃ大佐に・・あれ?エドワードくん、どうかしたんですか?」
布団が何だかおかしいことに気付いたのだろう、フュリーはいぶかしげな表情を浮かべて尋ねる。
 「な、何でもない!!何でもないから!!」
必死にそう言い繕うが、それだけに却って怪しさを増してしまう。
思わずフュリーは気になったのか、布団をパッとめくりあげた。
 「あ・・開けちゃダ・・・」
そう言いかけたところでおねしょが現れてしまう。
「うわ・・・」
「開けちゃダメって・・言ったのに・・・」
見られてしまったショックか、思わずエドワードは目尻に涙が浮かびかける。
「え・・エドワードくん、な、泣かないで。ぼ、僕が悪かったから」
恥ずかしい事実を見てしまったせいか、フュリーは必死に謝る。
必死に謝るフュリーの姿に、さすがにエドも我を取り戻す。
 「それじゃあ・・誰にも言わない?」
「や、約束するよ」
「よかったぁ・・・。でも・・どうしよ・・。このままじゃ・・バレるし・・・そうしたらまた・・大佐に怒られる・・・」
「正直に言えば大佐も怒らないと思うけど・・」
「そうしたら俺がおねしょしたのがバレるじゃんか!幾ら身体が五歳児だからって情けなくてたまんないって!」
「そ、そうですよね・・・」
フュリーは思わずそういう。
身体こそ五歳児だが、本当は15歳なのだ。
おねしょなどあまりにも恥ずかしくてたまらないし、情けないだろう。
そう考えると、知らぬこととはいえ、そんな恥ずかしい姿を見てしまい、エドに恥ずかしい思いをさせてしまったことにすまない気持ちになってくる。
 「あの・・エドワードくん・・よかったら・・僕がこっそり別のに変えておこうか?」
「え・・そんなこと・・頼んでいいの?」
エドワードは思わず尋ねる。
本音をいえばそうしてもらいたい。
でも、フュリー曹長は陰でこそこそ何かをしたり出来るような人ではない。
見つかってバレてしまうかもしれないし、それどころか人のよいフュリーのことだ。
全部自分のせいだと言って自分で罪を被って代わりにお仕置きされるような事態になるかもしれない。
さすがにそんな危険に合わせるわけにはいかない。
 しかし、おねしょの事実を他の誰にも知られたくない。
その気持ちもまた事実だった。
良心と本音がエドの中で天秤のように激しく揺り動く。
だが、やがて本音がガクンッと思い切り下がり、その反動で良心がどこかへすっ飛んで行ってしまう。
「そ・・それじゃあ・・頼める?」
恐る恐るエドワードが頼むと、フュリーは承諾し、シーツを剥ぎ取ってこっそり出て行った。


 (大丈夫かな・・・フュリー曹長・・)
エドワードはさすがに心配になりながら廊下を歩いていた。
(やっぱり・・まずかったよな・・あんなこと・・頼んじゃって・・)
歩いているうちにどんどん罪悪感や疾しさが沸き上がってくる。
(やっぱり・・ちゃんと・・大佐に・・)
そう考えるが、同時に別の可能性が浮かんでくる。
 (待てよ・・。おねしょだけならともかく・・・フュリー曹長に証拠隠滅の片棒担がせちゃったんだから・・・絶対・・怒られる・・)
おねしょだけなら、幾らロイでも怒ることはしないだろう。
しかし、証拠隠滅などという行為には厳しい。
しかも、他人をその片棒にまでして巻き込んだとなれば、幾ら泣いてごめんなさいしても許してくれないかもしれない。
想像しただけで背筋が寒くなり、同時にお尻が痛くなってくる。
無意識にお尻に手をやったそのときだった。
 「あれ?大将か?」
不意にハボック少尉が向こうからやって来た。
「ん?な、何でもない。何か用?」
「ああ。悪いけどこの書類大佐に届けてくれるか?」
「わかった」
「それじゃ頼むわ。俺はまだ仕事があるから」
そういうとハボックはエドに書類を渡して去ってゆく。
エドワードは受け取った書類を抱えてロイの執務室へと向かった。


 執務室のドアの前に立つと同時に、何やら物音が聞こえてきた。
(あれ?これって・・・)
聞こえてくる音にジッとエドは耳を澄ます。
よく聞き覚えのある、嫌な思い出ばかりの音だ。
同時に悲鳴らしい声も聞こえてくる。
(ま・・まさか・・)
嫌な予感を覚えながら恐る恐るエドワードはドアを開ける。
するとよりはっきり悲鳴と音が聞こえてきた。
 バシッ!バンッ!バチンッ!バアア〜ンッ!
「ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさ〜いっ!!」
平手が叩きつけられる音と共にフュリーはロイの膝の上で両脚をバタつかせながら必死に謝る。
お尻は既に真っ赤っかで、眼鏡の下では目尻に涙を浮かべている。
 「た・・大佐・・何・・やってんだよ?」
見てわかるが、敢えてエドワードは尋ねる。
「ああ、鋼のか。ちょっとフュリー曹長をお仕置きしているところだよ。何か用かね?」
「あ・・うん。ハボック少尉に頼まれて書類持って来たんだよ」
「そうか。ではそこへ置いておいてくれたまえ」
五歳児のエドの身体でも届く応接用の低めのテーブルを指し示してロイはそう言う。
エドは書類を置くと、おずおずとロイに尋ねた。
 「あの・・曹長・・何やったんだよ?」
「ん?あぁ。汚れたシーツを抱えて何だかコソコソしていたのでね。怪しいと思って問い詰めたら仮眠中におねしょをしてしまい、あまりにも恥ずかしかったので証拠隠滅しようとしたそうでね。おねしょはともかく、証拠隠滅などということは許せんのでね、厳しく叱っているところだよ」
「ごめんなさいっ!もうしませんっ!」
フュリーが必死に謝るのを尻目にロイは強めに平手を振り下ろす。
 (や・・やっぱり・・・)
エドはお尻を真っ赤にして泣いているフュリーの姿を見て罪悪感が沸いてくる。
本来なら自分がああなるはずだったのだ。
しかし、恥ずかしい事実を知られたくない、お仕置きされたくないという保身の気持ちからフュリーに体よく証拠隠滅の仕事を押しつけてしまった。
フュリー曹長にそんなことが出来るはずもない、いやそれどころか見つかってお仕置きされてしまう可能性は十分に想像できたはずなのに。
それを自分のプライドとかのために頼んだ挙句に、フュリー曹長に罪を被らせている。
もうこれ以上知らぬ顔を決め込むことは出来なかった。
 「た・・大佐・・もう曹長許してやってよ」
「何故かね?君には関係ないことではないかね?」
「だって・・・俺の・・せいだから・・」
「どういうことかね?」
エドワードの口ぶりにロイは怪訝な表情を浮かべる。
 「エドワードくん!ダメっ!言っちゃダメですってば!」
フュリーは必死になって止めようとする。
「もういいって。これ以上、フュリー曹長に迷惑かけられないってば」
「ダメです!言ったらエドワードくんまで叱られちゃいます!!」
「いいんだよ。もう十分だって。大佐・・実は・・」
エドは止めようとするフュリーを押さえると、仮眠室でのことを話し始めた。


 「なるほど・・何かおかしいと思ったらそういうことだったのかね」
ロイはエドの話にようやく得心した様子を浮かべる。
「うん・・・本当に・・ごめん・・」
さすがに自分のせいで他人に罪を被らせてしまい、挙句にお仕置きされるような目にまで合わせてしまったせいか、素直に謝る。
 「謝るのは私よりフュリー曹長にだろう?それより・・鋼の・・。こんなことをしでかした以上・・・覚悟は出来てるかね?」
「う・・・・」
エドワードは思わず言葉に詰まる。
自白した以上、お仕置きされるのは覚悟していたが、それでも実際に宣告されるとたじろいでしまう。
「どうしたのかね?反省していないのかね?」
「そ・・そうじゃ・・」
「だったら来れるだろう?」
ロイは片手でエドを招き、同時にもう片方の手で未だ膝の上のフュリー曹長の頭を撫でる。
ロイのしぐさのおかげで否応なしにフュリーの姿が目に入り、再び罪悪感が沸き上がってきたせいか、エドワードは恐る恐るロイの元へやって来る。
エドワードが来ると、ロイはフュリーを膝から降ろしてやる。
ようやく解放されたフュリーはお尻をさすりながら机の脇の方へと移動する。
エドのことが心配なのだろう、目尻に涙を浮かべつつも気づかうような目をエドに向ける。
 覚悟を決めているし、またフュリーの目があるからか、いつもとは違って素直にエドは膝の上に乗る。
「さすがに素直だな・・・だが・・手加減はしないぞ。いいかね?」
「わ・・わかってるってば」
ブルブルと身体が震えてくるが、それでも精一杯強がると、エドはロイの服の裾をギュッと握りしめる。
いつものようにエドワードの小ぶりなお尻を出すと、ロイは右手を振り上げた。


 パッシィ〜ンッッ!!
「ひっ・・!!」
甲高い音と共にお尻の表面で痛みが弾ける。
同時にエドワードの小さなお尻に真っ赤な手形が浮かび上がる。
反省していないわけではないのだろうが、この痛みの前ではエドワードの決意も理性も完全に崩れ去ってしまう。
 「やっぱやだっ!痛いっ!」
「は?何を言っているのかね?」
いきなりのエドワードの発言に思わずロイは呆れたような表情を浮かべる。
「やっぱりやだっ!痛いっ!離せってば!」
「何を言ってるのかね?お仕置きなんだから痛くて当たり前だろう?」
「ってそもそも大佐がお仕置きだとか言っていつもお尻叩くからじゃんか!本当に痛いんだからな!大佐がそんなことしなきゃ俺だってこんな小細工しねえもん!それなのにお仕置きされるなんて割に合わないって!」
完全に人のせいにしているエドワードの態度にさすがにロイも呆れと怒りが沸いてくる。
 バシッ!バンッ!バンッ!バチンッ!
「ちょ・・!やだっ!何すんだよ大佐のバカッ!」
「鋼の・・・君は本気でそんなことを言っているのかね?」
バシバシとやや強めにお尻を叩きながらロイはそう尋ねる。
そのトーンにエドワードは大佐がさらに怒っていることに気付き、冷や汗になる。
だが、今さら引っ込みもつかず、エドは半ばヤケクソになって言う。
 「そうだよ!大佐がお尻叩かなけりゃ俺だってこんなことしなかったって!大佐が悪いんじゃんか!俺は悪くないっ!!」
「そうか・・君の考えはよくわかった・・・」
ロイはそういうと、足を組む。
おかげでエドワードはグッとお尻を突き上げる体勢になった。
 「ちょ・・!これやだあっっ!!」
以前の経験からすごく痛い体勢にされたことに気付くや、さすがに声を上げる。
だが、ロイは構わずに平手を振り下ろした。
 パア〜ンッ!
パンパンパンパンパンパンパンッ!!
「うわぁぁんっ!痛い〜〜〜〜!!!」
強烈な平手打ちの連打にさすがにエドも悲鳴を上げる。
「全く・・・自分が悪いことをしたのに・・素直に謝るどころか逆ギレするとは・・・。今日の君は相当悪い子だな・・」
「ふえ・・・」
痛みに涙を浮かべかけるエドだが、それを尻目にロイはさらに言葉を続ける。
「そんな悪い子は・・・もっとしっかりとお仕置きしてあげよう」
「ひぃんっ!やだあっ!」
恐怖に駆られてエドワードは膝から飛び出そうとする。
だが、ロイにしっかりと押さえつけられてしまうと、平手打ちの雨をお見舞いされる。
そして、平手打ちの音と共にエドの悲鳴とロイの叱る声が執務室内に響き渡った。


 「ひぃん・・ひっく・・ふぇぇん・・・」
しゃくりあげながらエドワードはロイの膝の上で泣いていた。
お尻は今やすっかりまんべんなく赤に染まっている。
 「鋼の・・・少しは反省したかね?」
そろそろ頃合いだと見たのか、ロイはお尻を叩く手を止めると、エドワードに尋ねる。
「ひぃん・・した・・したからぁ・・もう・・叩かないで・・・」
「では、何が悪かったのか言ってみたまえ」
ロイに促され、エドワードは一つずつ言ってゆく。
「ひぃん・・お・・おねしょ・・して・・・か・・隠そうと・・したぁ・・」
「そう、それから?」
「ひぃん・・フュリー曹長に・・おねしょ・・隠すの・・手伝わせて・・・痛い・・思いさせた・・こと・・・」
「そうだな、鋼の。それから?」
「ひぃん・・・俺が・・・悪いのに・・逆ギレ・・して・・色々・・言ったぁ・・」
「そうだ。それで・・何が・・一番悪かったかね?」
「ひぃん・・。おねしょ・・隠したのと・・それで・・フュリー曹長に・・悪いこと・・させたり・・・痛い思いとか・・させた・・・」
「そうだな。よくわかっているな、さすがだな」
そういうとロイはエドを抱き起こし、膝の上に座らせる。
 「いいかね、鋼の。私はおねしょしたから怒ったわけではないよ。恥ずかしいから隠したいのも無理は無いが、今の君は5歳なのだから仕方のないことだよ。だからおねしょくらいで怒ったりはしないよ。だがね、君は恥ずかしい思いをしたり、お仕置きされるのが嫌さに証拠隠滅しようとして、しかもそれにフュリー曹長まで巻き込んだ。自分の保身のために嘘をついたり、そのために他人まで巻き込むのは何よりもいけないことだ。だからこんなに怒ったのだよ。わかるかね?」
「ひぃん・・大佐ぁ・・ごめんなさぁぁい・・・」
エドワードはボロボロ泣きながらロイに謝る。
「よしよし・・。だが・・君が謝るのは私よりもフュリー曹長に対してだろう?さぁ、謝って来たまえ」
ロイはエドワードを降ろすと、机の脇で蹲りながら心配そうに様子を見ていたフュリー曹長と向かい合わせる。
 「フュリー曹長、ごめん。俺のせいで悪いことさせちゃったり、痛い思いさせちゃって」
「いいんですよ、エドワードくん。僕こそちゃんと断ったりしなかったのが悪いから。それより、お尻大丈夫ですか?」
「痛いけど・・何とか・・。それより・・曹長こそ大丈夫?大佐のお仕置き、痛いだろ?」
「な・・何とか・・・」
そんな感じで仲直りがうまくいっているところへ、不意にドアが開いた。
 「すんませ〜ん。出し忘れの書類があったんですけど・・」
そう言って入って来たハボック少尉は真っ赤なお尻を出しているエドワードとフュリーに気づく。
「あれ?大将、またお仕置きされたのか?ん?曹長もか?」
「ちょうどよかった。ハボック少尉、フュリー曹長を医務室まで連れて行きたまえ。私は鋼のと話があるのでね」
「了解、曹長、立てるか?」
「は・・はい、何とか・・・」
ハボックはフュリーを助け起こすと支えながら二人して部屋を後にした。


 「大丈夫ですかねぇ、また叱られてないといいですけど・・」
フュリーは心配そうな表情で言う。
「大丈夫だって。大佐も大将の事は大事にしてるからな。それより、少しは楽になったか?」
「ええ。おかげさまで」
「そっか。ゆっくり休みな」
「はい・・それじゃあ、お言葉に甘えて」
フュリーはそういうとそのまま目を閉じる。
しばらくすると寝息を立てて眠り始めた。


 「ちょ・・大佐!染みるってば!」
ロイに薬を塗ってもらいながらエドはそんなことを言う。
「仕方ないだろう。よく効く代わりに染みるのだから。少しは我慢したまえ」
「うぅ・・・本当はまだちょっと怒ってんじゃないのかよ?」
「さぁ、どうかね。それにしても・・・おねしょを隠そうなんて・・・まるで本物の五歳児だな君は」
「だーかーらーもう言うなよってば!!俺だって恥ずかしいんだから!!」
痛いところを突かれ、思わずエドワードはふくれっ面になる。
そんな本当に子供のような素振りに苦笑しつつも、ロイは優しさの籠った目をエドに向けた。


 ―完―


 コメント:今回は五歳児お豆に挑戦してみましたが、初のロイ/エド、しかも五歳児バージョンということもあってか、結構苦戦してしまいました。
 でも、結構書かせていただいていて楽しかったです。そのせいか、より五歳児お豆に愛着とかが出たように感じられて、これからの五歳児お豆の活躍が楽しみです。

山田主水様より相互リンク記念にいただきました。
素敵な作品ありがとうございました。